column 2021.9.24
 

LEARN FROM NATURE [森林] 六甲山の森林を育てるための、心地よい関わり方

神戸R不動産
 

泊まれる森のシェアオフィスROKKONOMAD主催のオープンイベント「LEARN from NATURE」第5回のテーマは「森林」です!

六甲山から神戸市街と瀬戸内海を見下ろした綺麗な眺め

かつては、ハゲ山だった六甲山

皆さん、六甲山といえば何を想像しますか?
検索をしてみると「夜景」「アスレチック」「カフェ」など観光コンテンツがまずはヒットします。豊かな自然を楽しむイメージをされている方も多いのではないでしょうか?

でも実は、明治の初頭にはハゲ山だった歴史があります。
古くから人々が、 燃料材や肥料、石を確保するための伐採を繰り返すとともに、一ノ谷の合戦など、戦乱が頻発していたことが、ハゲ山になった経緯のひとつです。そして、荒廃によって土砂災害を頻発させることになり、神戸の人口が増え始めた明治時代に植林・治水工事が始まり、現在の美しい緑を取り戻してきました。

森が豊かであれば、街の暮らしも豊かになります。木々があることで土砂が崩れず、地中に水もたまり、それが海に流れ豊かな漁場もつくります。また神戸の美しい景観や、検索のTOPに出てくるレジャーとしての利用も可能になる良い循環が生まれるわけです。

現在のROKKONOMAD周辺の森林

山の表と裏で森が全然違う

当時、植林された木は、防災や景観をつくる風致林の造成に目的であったことから、クロマツなどの砂防樹や、ハゼ、クスノキなど様々な樹木でありました。そして今では、美しいいわゆる「広葉樹林」や「雑木林」となっています。

一方、六甲山の裏側に目を向けると、ヒノキや松を中心とした林業を行うための森が広がります。そして、昔から村の中で管理され、今でもそれを守り続けている方々がいます。ここで、お気づきになった方もいるかもしれませんが、六甲山の森林といっても、山の表と裏では、植物の種類も目的も形成された背景も異なるのです。

裏六甲山(下唐櫃)の人工林の様子(写真:ヤマサキマサオさんより)

しかし約120年前から始まった植林や、これまで人の手が入ってきた人工林は、昔に比べて流通量が減ったり、関わる人が減ったりして、維持管理がこのままでは難しくなりつつあります。そしてこのままの状態では、土砂崩れなどの災害に発展する可能性や、植物が育ちづらくなってしまうなど、人々の暮らしへの影響や、森がダメになってしまう可能性も秘めています。またこれは、国土の2/3が森林である日本では、六甲山だけに限らず、全国の多くの森林が直面している課題でもあるのです。

そんな中、六甲山を拠点に活動を展開しているのが今回のナビゲーターのヤマサキマサオさんです。
ヤマサキさんは、森林とまちをつなげる木材コーディネートを行い、神戸六甲山材や国産材の販路拡大の為のブランディングや商品開発もする、いわば六甲山の木材のキーパーソンです。今回はそんなヤマサキさんから詳しく六甲山の森林について話を聞いていきます。まずは、簡単にヤマサキさんのご紹介を!

みんなで打楽器「カホン」をつくるプロジェクト

ヤマサキさんの代表的な活動として、カホンプロジェクトがあります。
カホン?と聞いてどう森林と結びつくか疑問に思われた方もいらっしゃるかと思いますが、それがすごいんです。というのも、カホンという打楽器をみんなで手づくりすることで、森林の資源活用方法について地域の人たちと考え、子供達に山を守る大切さを伝えながら、木の良さやものづくりの楽しさを体感できるプログラムになっているのです。2009年に大阪で活動を開始して以来、北海道、青森、能代、福島、東京、石川、愛知、京都、兵庫、奈良、岡山、広島、福岡、熊本、等々全国各地の森林関係の方々とのワークショップを継続し一般の方や子供達に日本の森について考えるキッカケになっています。ちなみに、カホンプロジェクトの活動のことは、学芸出版社から出ている『森ではたらく!〜27人の27の仕事〜』で詳しく書かれているので気になる方はぜひお手に取ってみてください。

神戸市立「名谷図書館」に六甲山の木材を利用し、山とまちの繋がりを作っていく

六甲山の木材が利用されている神戸市立「名谷図書館」の様子(ヤマサキマサオさんより)

「山とまちはどう繋がるか」をテーマに考えられた空間。2021年3月にオープンした、名谷駅前の神戸大丸須磨店内4Fに神戸市立名谷図書館です。この際は、六甲山小学校でやむを得ず伐採せざるをえなかったヒノキやすぎを中心に、3.5mのベンチや大木の角材展示、丸太半割材の腰板、等々を制作されたそうです。
ヤマサキさんがそのことについてはこちらの記事で触れています。

ROKKONOMADにも六甲山の木材が使われています!

ROKKONOMADのワークスペースの様子。フローリングは六甲山の杉です。

ROKKONOMADでも、新しく張り替えたフローリングは全て六甲山の杉を利用しています。こちらは、裏六甲(ドライブウェイ付近)の大木だそうで、ヤマサキさんのおかげで、木のぬくもりを感じながら働ける空間に仕上がっています。

そんな活動を行うヤマサキさんをお呼びして、今回は六甲山の森林の現状や、これからも森を育てていくための心地よい森との関わり方を考えてきます。プログラムとしては、こんな感じですが、ヤマサキさんには森林の専門家ではなく、実践者として現場で普段感じられていることや、それを通してこれから行っていきたいことをざっくばらんにお伺いしていこうと思っています。

私たちROKKONOMADが囲まれている森林がどういうものなのか。
また六甲山の周辺に住んでいる私たちにとってどんな森との関わりがあったらいいのだろうか?
一緒に探っていけたらと思います。

LEARN FROM NATURE [森林]
六甲山の森林を育てるための、心地よい関わり方

【日時】2021年10月9日(土) 13:00-14:30終了予定
【参加費】 0円
※ 12:00- ROKKONOMADで秋のランチプレートを提供しています。ご希望の方は、「ランチ付き」のチケットをご購入ください。
【枠数】15名
【場所】 ROKKONOMAD( 兵庫県神戸市灘区六甲山町1878-48 )六甲ケーブル「六甲山上駅」より徒歩12分
【アクセス】こちらをご覧ください。
【その他】体調の優れない方は、参加をご遠慮ください。

お申し込み方法:

予約はこちらから。

お話の主な内容(予定):
■PART1 六甲山の森入門
・ハゲ山から森林に変化した森の歴史
・山の表裏で異なる、木の種類や管理方法
・六甲山の多様な機能と可能性(治水・防災、林業、観光、環境資源、海への影響)

■PART2 このままだとどうなる?未来のリスクについて考える
・行き届いていないの?森林管理の実態と仕組みの課題
・六甲山は林業に向かない?!これから森林の活用シナリオ
・森林を放置した場合の未来のリスクとコスト

■PART3 温故知新。上手な山の使い方の知恵
・全国的な木材の地産地消の流れ。私たちに必要な訓練とは
・昔の暮らしから知恵を探る建材以外の森の使い方
・現代人の「森との関わり方」談義

ナビゲーター:

ヤマサキマサオさん SHARE WOODS代表
2009年に間伐材を活用した打楽器「カホン」を手づくりする「カホンプ ロジェクト」を創設し、日本全国の森との関わりを深め全国各地の地域材 を活用したプロジェクトに携わる。2013年に、木に関わる情報と販売の プラットフォーム「SHARE WOODS」を設立し、森林とまちをつなげる 木材コーディネートを行い、神戸六甲山材や国産材の販路拡大の為のブランディングや商品開発を行なう工房、MAR_U(マル)を運営。

ROKKONOMAD TEAM

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