2012.4.25

 

神戸R不動産の1年間 〜僕らがグッときた物件 ベスト5〜

小泉寛明(神戸R不動産/Lusie Inc.)
 

神戸R不動産がスタートして1年間が経ちました。サイト運営を通じて沢山のお客様に出会えたことはこの上ない喜びです。そして数々の個性的な物件との出会いがありました。今回のコラムでは1年間の総括として、僕らがグっときた物件と題して5物件ピックアップさせて頂きました。以下はメンバー同士の会話です。これからの1年も、引き続き物件探しに邁進します。これからもよろしくお願いします!

アイビーハウス

— 蔦でモジャモジャになった外観のインパクトは、すごい。

— 当初、建物は老朽化もあり新築されることを前提に、土地情報として流通されていた物件。こんな建物が土地情報として流通されていることに驚き。リノベーションされて生まれ変わり、賃貸物件として再デビューすることに。

— 内装は、前入居者がアトリエとして使っていた雰囲気をそのままに、現在は1・2階別世帯の住居として賃貸。1階は、入居者の子供さんが庭から部屋へかけまわり、泥遊びに興じたりしてその生活を楽しんでおられて、2階は、ハンモックを付けたり床材を貼替えたりと、入居者による自由な改装もされている。

— この物件はその個性から反響も大きく、たくさんの問い合わせを頂いた。場所は駅よりずいぶんと登っていった六甲山の麓にあって交通手段が限られている不便な場所だからこそ、見に来られた多くの方が引いてしまったのも事実。でも選んで頂ける方がいたのは、坂を上がったものだけが得られる眺望と、季節を通して心地いい風の吹く丘、そして物件そのものに魅力があったから。坂の上にはこういった物件が眠っていそうですね。

1階は住居らしくない内装。全面ガラス建具や白ブロック壁。2階はハンモック有り。床仕上は入居者によるDIY。

あこがれの平屋生活

— こんな平屋にずっと憧れてました。こんな恵まれたロケーションの平屋って、探していてもなかなか出会う事ができないですよね。築年数は古いですが異国情緒あふれる雰囲気をそのまま活かしながら改装されている、とても貴重な物件です。

— 神戸では外国人ファミリーが住んでいた物件が、山手あたりを中心にちらほらと点在していて、このあたりも外国人が多く住んでいた場所。当時の外国人は日本人が住まない場所でいい場所みつけて住み始めたんでしょうね。この物件も丘の上のいい場所に建ってます。

— 庭にある木の建具や白いパーゴラは、トトロにでてくるサツキとメイの家を連想させます。庭に対して部屋があって、メイがそこを走り回ってお父さんの書斎の窓際にどんぐりを置いていくような風景が思い浮かびました。

魅惑のロケーション。室内から庭を通して眺める景色、残された暖炉が雰囲気をだしてます。

神戸港のアトリエ

— これは何も言わなくても、その外観が良さを物語ってくれる。内装は階段手摺の大理石や丸窓にステンドグラス、昭和初期に相当費用をかけてつくられている建物は、職人のエネルギーをひしひしと感じる。今じゃできないようなつくりは、希少価値がある。昨年8月に国の有形文化財としても登録された。

— 三宮駅よりすこし離れた港湾エリアなので少し不便な場所だけど、賃料が7万円代前半とリーズナブルなのが驚き。駐車場も周辺相場より格安なので、車で動く人にはうってつけの物件ですね。

— 神戸には撮影用のロケに使えそうな場所が結構あるなと思う。この建物もそう。と思ってたら、この建物は昨年公開の映画「三丁目の夕日」にも出版社のオフィスとして出てきた。

— 神戸では大きな震災があったけど、昭和初期の建物は比較的被害が少なく、この建物は震災でも破損がほとんど見られなかったという屈強な建物です。これからもこういう建物に入居者を紹介して行きたいですよね。

一面フローリングの部屋もあり露出する柱梁は野太い。丸窓ステンドグラス大理石の壁手摺、景色も気持ちいい。

北野ノスタルジック

— 芝の上にダイノジに寝転がって、ゆっくり昼寝をしたいような屋上。このマンションは六甲山を背後に神戸の市街地を見下ろせる場所、北野にあって、山と海に挟まれた神戸ならではの景色、通る風が気持ち良い象徴的な物件。屋上は時折パーティーをしたりひなたぼっこしたりする場所として使われている。

— この物件には東京方面からのご家族が複数引っ越して来られました。神戸への移住をアピールしたい神戸R不動産としては、うれしい事例。

— さらに特徴的なのは、内装を入居者が自由にして良いところ。基本的にすこし痛んでいてもそのまま次の居住者へと住み継がれていきますが、それでも入居者がついている珍しい物件です。住みながら自分で手を加えていく楽しみが残されているのはありがたいですね。

— 神戸には間取りの広い外国人マンションがいくつも残っていて、外国人住居の需要の少なくなった今では、価格がずいぶんと下がってきていて手が出やすくなりましたね。こちらの物件、電気・水道・セントラルヒーティングの費用が家賃に含まれての条件も魅力的でしたね。

神戸ならではの景色がここにあり。眼下に見下ろす景色はもちろんですが、近くの六甲山の景色もいいんです。

リノベーション用倉庫

— 荒々しい鉄骨がむき出しになって、装飾的なモノを排除した無骨さに男気を感じる。神戸には便利な場所にある倉庫物件があまりなく、ずっと探していてやっと使えそうなものを見つけたという感じ。

— エリア的には、工業地帯。少し西に行くと老舗清酒メーカーの醸造所などが点在しているエリア。近年、地元の工場も閉鎖されていく傾向にあり、工場や倉庫を再利用して使っていけば、面白いエリアになるんじゃないかと思ってます。神戸R不動産のアイコンにもある「港下町」って感じ。

— この物件の基本は倉庫、整備工場だけど、2階は寮として利用されていたので、水回りもあったりして住めるというのが特徴。

1階は柱のない大空間。ドサーっと車を乗り入れて、搬入できることが魅力。倉庫に住めるのは希少。

このブログについて
 

山と海に囲まれた街、神戸に移り住み5年。引越魔だった私が神戸に定住できたのは、この街の居心地がとても良いから。 そして神戸で会社を始めたのも、この街に住み続けられる仕事というのが大前提にあったから。居心地のわけをお伝えして参ります。


著者紹介
 

小泉寛明(神戸R不動産/Lusie Inc.)
小泉亜由美(神戸R不動産/Lusie Inc.)
西村周治(神戸R不動産/Lusie Inc.)
岩崎大輔(神戸R不動産/Lusie Inc.)

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